「津付ダム」に関する東日本大震災以前の記事2

岩手県気仙郡住田町(すみたちょう)の気仙川水系 大股川(おおまたがわ)に計画されていた「津付ダム建設事業(つづきダムけんせつじぎょう)」について、東日本大震災(2011年3月11日)以前の関連記事などをまとめます。

→▼「津付ダム」に関する東日本大震災以前の記事1 - atimus's blog http://atimus.hatenablog.jp/entry/2014/08/02/010000
→▼「津付ダム」に関する東日本大震災以前の記事3 - atimus's blog http://atimus.hatenablog.jp/entry/2014/08/02/030000

 

▽▽2007年(平成19年):

 

▼簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク|動き〔これまでの紹介記事〕|津付ダム関連 http://yanadamu.web.fc2.com/houdou/ugoki.htm
・☆気仙川で総合治水対策 2007年11月17日岩手日報

 

→▼〔2007年 岩手日報盛岡版〕岩手県の環境関係ニュース 2007.1-3(2007/01/01〜03/31)|三陸の海・下北の大地を放射能から守ろう http://sanriku.my.coocan.jp/env71.htm
・2007/03/30 [論壇]津付ダムと生態系 山下裕一

 

▼〔2007/11/17〕気仙川で総合治水対策/県と流域2市町|岩手日報 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20071117_3
▽「〔岩手〕県と陸前高田市住田町は、両市町を流れる気仙川流域で、県事業としては初めての総合治水対策に乗り出す。行政と住民が密接に連携することで、莫大(ばくだい)な事業費と長い時間がかかるハード整備に頼った旧来の治水から脱却し、低コストで迅速な治水を目指す。地方河川での取り組みは全国的にも珍しく、行政主導だった従来の防災対策や、国や地方自治体の厳しい財政状況の中で公共事業の在り方を見直す機会になりそうだ。/ 県と両市町は、気仙川の治水を考える合同ワーキンググループを〔2007年〕8月に発足させた。学識経験者を招いた初の勉強会を今月〔2007年11月〕29日に同市〔陸前高田市〕で開催するなど検討を重ね、本年度末〔2007年度末〕に総合治水の推進に関する提言を行う。/ 2008年度からは地域住民を加えて現地視察や意見交換を行い、08年度末をめどに本県初の総合治水対策基本構想案を策定する予定だ。」
▽「同流域では支流の大股川津付ダム建設が予定されているが、ダムだけでは治水能力が足りず、水害を免れない地域が広範囲で発生する見込み。/ 計画では、17年度のダム完成後に連続堤防などを建設し、70年に一度規模の洪水を防ぐとしているが、ハード整備だけに頼った治水対策は多額の経費がかかり、現在の財政状況下では実現は厳しい。/ そこで、ハザードマップ作成や水防警報の充実など警戒避難態勢整備のソフト対策と、危険地域に絞ったきめ細かな河川改修などのハード対策を組み合わせ、ダム完成と同時に、30年に一度規模の洪水に対応する治水対策の実現を目指す。/ 河川改修の予算は、国の補助制度がないため県が単独で工面せざるを得ず、工事区域の優先順位は費用対効果を基に住民の意見を取り入れて決めることになりそうだ。/ 河川管理者の県と流域の両市町が協力することで行政の垣根を越えた事業展開を図り、コスト削減と工期の短縮を図る。/ また、行政と住民との対話を継続することで防災意識を高め、将来的には浸水危険地域の土地利用規制などにも発展させたい考えだ。/ 県内では昨年〔2006年〕、国が管理する北上川水系の河川整備基本方針で、輪中堤や宅地のかさ上げなど新たな治水方法が初めて明文化された。旧川崎村(現一関市)は、条例で浸水危険地域の土地利用規制を行い、土地のかさ上げも義務付けている。/ 津付ダム建設事務所の中村善彦次長は「官民協働による治水対策のモデルケースにしたい」と話している。/ 総合治水 ダムなどのハード整備に、水田の遊水池化や宅地のかさ上げ、住宅移転、浸水危険地域の土地利用規制、ハザードマップ作成、水防体制強化などのソフト事業を組み合わせ、低コストで迅速な治水の実現を目指す手法。行政と住民の連携と地域防災力の向上が不可欠で、これまでは急激に開発が進んだ都市河川での実施が多い。/ (2007/11/17)」

 

▼〔2007/11/15〕津付ダム建設着手/住田で工事用道路起工式(岩手日報)|47NEWS http://www.47news.jp/CI/200711/CI-20071115-12654211.html
▽「〔岩手〕県が住田町世田米の大股川に建設を予定する津付ダムの貯水地域付け替え道路となる、国道397号津付道路工事用道路起工式は〔2007年11月〕14日、現地で行われた。津付ダム建設は1977年予備調査開始から30年を経て、ようやく工事に着手する。」
▽「関係者ら約50人が出席。大船渡地方振興局の高橋克雅局長が「〔1977年の〕予備調査開始から30年を経て社会情勢が変わり、ダムへの風当たりも強くなっているが、ようやく着手にこぎ着けた。環境に配慮しながら事業を進めたい」とあいさつした。/ 長年建設を求めてきた多田欣一町長は「30年間の思いはとても語り尽くせない。地権者に感謝する。地域住民に喜ばれる事業となってほしい」と祝辞を述べた。/ 当初予定していた利水事業から離脱した陸前高田市の中里長門市長も「道路とともに、ダム本体の工事が進むことを念願している」と述べた。/ 関係者がくわ入れし、工事の安全を祈った。/ 津付道路は全長2・7キロ。橋とトンネルを各3カ所建設し、現在より約800メートル短縮する。事業約70億円で、半額を国が補助する。完成すれば大船渡市と東北新幹線水沢江刺駅が約1時間で結ばれ、大船渡港の利用促進などが期待される。/ 工事用道路は2008年度に完成予定。その後津付道路は12年度〔2012年度〕、ダム本体は17年度〔2017年度〕の完成を目指す。ダムの総事業費は約141億円を見込む。/ かつて反対運動を繰り広げた地権者会〔津付ダム地権者会。1989年設立〕の大村孝一会長は「ついに事業が始まり、故郷がなくなるのはとても悲しい。われわれは既にあきらめて退いた身だ。今は早く完成してほしい」と話した。/ 2007/11/15 00:00 【岩手日報】」

 

▼平成19年度〔2007年度〕発掘調査報告書〔2008年3月24日〕 - 全国遺跡資料リポジトリ http://rar.nii.ac.jp/metadata/2310
 →▼平成19年度発掘調査報告書〔2008年3月24日〕 - 全国遺跡報告総覧 http://sitereports.nabunken.go.jp/ja/13134
▽「■遺跡名: 落合II遺跡/ ・遺跡名ふりがな: おちあい2いせき/ ・本内順位: 5/ ・遺跡所在地: 岩手県気仙郡住田町世田米子飼沢8-2ほか/ ・所在地ふりがな: いわてけんけせんぐんすみたちょうせたまいこがいさわ8-2ほか/ ・市町村コード: 03441/ ・遺跡番号: NF13-1146/ ・北緯(日本測地系): 〔※空欄〕/ ・東経(日本測地系): 〔※空欄〕/ ・北緯(世界測地系): 390902/ ・東経(世界測地系): 1412701/ ・調査期間: 20070717-20070830〔2007年7月17日〜8月30日〕/ ・調査面積: 1066/ ・調査原因: 津付ダム建設事業に伴う緊急発掘調査/ ・種別: 散布地 集落/ ・主な時代: 縄文+不明/ ・主な遺構: 土坑, 炉, 焼土/ ・主な遺物: 縄文土器, 石器/ ・特記事項: 〔※空欄〕」
▽「■遺跡名: 落合III遺跡/ ・遺跡名ふりがな: おちあい3いせき/ ・本内順位: 6/ ・遺跡所在地: 岩手県気仙郡住田町世田米子飼沢10ほか/ ・所在地ふりがな: いわてけんけせんぐんすみたちょうせたまいこがいさわ10ほか/ ・市町村コード: 03441/ ・遺跡番号: NF13-1156/ ・北緯(日本測地系): 〔※空欄〕/ ・東経(日本測地系): 〔※空欄〕/ ・北緯(世界測地系): 390857/ ・東経(世界測地系): 1412702/ ・調査期間: 20070801-20070830〔2007年8月1日〜8月30日〕/ ・調査面積: 997/ ・調査原因: 津付ダム建設事業に伴う緊急発掘調査/ ・種別: 散布地/ ・主な時代: 縄文/ ・主な遺構: 〔※空欄〕/ ・主な遺物: 縄文土器/ ・特記事項 〔※空欄〕」

 

▼〔2007年3月26日-28日〕岩手日日新聞|岩手日日〜選挙関連|知事選 http://www.iwanichi.co.jp/iwanichi01/senkyo/2007/tizisen/03_26_28.htm
▽「■〔岩手県知事選/ 平成19年〔2007年〕3月26〜28日掲載」「■<知事選候補者に聞く> 【質問】(1)1兆4000億円もの県債残高があるが、どう財政健全化に取り組むか。/(2)医師確保策、小児救急対策の充実など医療・福祉の在り方は。/(3)人口減少、少子化の打開策は。子育てしやすい環境をどう支援するか。/(4)県南地方の産業振興策は。/(5)市町村合併に対する考え方は。/(6)雇用対策は。県内でも広がる格差にどう対応するか。/(7)地域振興の在り方は。県南広域振興局と他地区の振興局体制をどう方向付けるか。/(8)教育について、少人数学級も含めた具体的考え方は。/(9)岩手競馬の今後の方向性についてどう考えるか。」
▽「■達増拓也候補(42)無新/ 〔※略〕/ ■菅野恒信候補(61)無新/ (1)計画的に財政再建 深刻な県財政危機は、簗川ダム・津付ダムなどの不要不急な大型開発を進めてきたことが原因。その上に競馬組合への多額の税金投入は許されない。こうした税金の使い方をやめ県民の目線で暮らし・福祉を守ることに力を注ぐ。基幹産業の農林漁業の発展と商工業の振興を柱にした地域経済の再生を目指し、計画的な財政再建を進める。/ 〔※略〕」

 

▽▽2006年(平成18年):

 

→▼簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク|動き〔これまでの紹介記事〕|津付ダム関連 http://yanadamu.web.fc2.com/houdou/ugoki.htm
・2006/9/16 ☆気仙川流域のまちづくり講座 きょう陸前高田で 岩手日報
・2006/6/6 ☆気仙川の治水を検証 陸前高田 岩手日報

 

▼〔2006年6月6日 岩手日報〕気仙川流域のまちづくり講座/きょう陸前高田で|簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク http://yanadamu.web.fc2.com/houdou/tuduki/tuduki060606.html
▽「■気仙川流域のまちづくり講座/きょう陸前高田/ 岩手日報2006/9/16」「陸前高田市の市民団体「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」 (吉田正世話人代表)は〔2006年6月〕十六日午後六時半から、同市高田町の市長会館で、気仙川流域のまちづくりを考える 第三回まちづくり講座を開く。/ 大船渡地方振興局水産部普及チームの工藤飛雄馬さんが、同市の漁業について講演する。受講料は五百円。予約不要。問い合わせは同会へ。」

 

▼〔2006年6月6日 岩手日報〕気仙川の治水を検証/陸前高田/住民と県職員が視察/いらない提防、疑問も|簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク http://yanadamu.web.fc2.com/houdou/tuduki/tuduki060606.html#tisuikensyou
▽「■気仙川の治水を検証/陸前高田/ 岩手日報2006/6/6/ 住民と県職員が視察/いらない提防、疑問も」「陸前高田市の市民団体「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」(吉田正世話人代表)は〔2006年6月〕四日、同市と住田町を流れる気仙川住民視察会を開いた。流域住民と〔岩手〕県職員が現場を見ながら気仙川流域の治水対策を話し合う初の試みで、守るべき民家がない場所に提防建設が計画されているなど治水上の疑問点も指摘された。上流に津付ダムの建設を計画している県は住民の意見を今後の施策に生かす方針だ。/ 視察会には会員や地域住民ら約五十人が参加。大船渡地方振興局津付ダム建設事務所(及川和男所長)の職員ら六人の説明を受けながら、同市気仙町から同町世田米まで約20キロを視察した。県が作成した資料を基に計画の妥当性や治水対策の在り方などを語り合った。」
▽「県は、河川改修だけで治水対策を行った場合の事業費を三百五十四億円〔354億円〕と試算。一方、津村ダムと河川改修の両方で対策を行った場合は三百三十四億円〔334億円〕と試算し、ダムを造った方が二十億円安上がりとしている。/ しかし、同日の視察では、提防建設が計画されている場所が農地などで、守るべき民家がないケースが多数あった。/ また、陸前高田市の下流部では潮止めぜきが流れを遮っていたほか、同町世田米の昭和橋は橋脚の間隔が狭く、大雨時に流木が引っ掛かって洪水を引き起こす恐れがあることなどが指摘された。/ 吉田〔正洋〕世話人代表は「人命や民家などの被害が予想されない場所に提防を造る必要があるだろうか。住民と話し合いを重ねてさらなるコストダウンを図れば、ダム建設に固執する必要もなくなるのでは」と話していた。/ 同事務所の中村喜彦次長は「今後も事業の実施段階で住民の意見を聞き、計画に反映させていきたい」と述べた。」「〔写真:〕住田町の昭和橋付近を視察し、意見交換する住民と県職員」

 

▼気仙川水系気仙川治水ダム建設事業(津付ダム建設事業)〔2006年2月発行〕|環境省_環境アセスメント事例の検索(事業概要)[アセス支援ネット] http://www.env.go.jp/policy/assess/3-2search/search/gaiyo.php?jid=03062392&page=result&start=660&maxrows=20&konkyo%5B1%5D=%2700%27&konkyo%5B2%5D=%2710%27,%2711%27,%2712%27&konkyo%5B3%5D=%2720%27&konkyo%5B4%5D=%2730%27,%2731%27,%2732%27,%2733%27,%2734%27,%2735%27,%2736%27,%2737%27,%2738%27,%2739%27&konkyo%5B5%5D=%2743%27&order=&desc=
▽「■気仙川水系気仙川治水ダム建設事業(津付ダム建設事業/ ■事業概要/ ・所在都道府県: 岩手県/ ・事業種類: 河川(ダムの新築)/ ・計画策定者又は事業者: 岩手県/ ・実施根拠: 都道府県の条例・要綱等/ ・表題: 二級河川気仙川水系治水ダム建設事業 津付ダム建設事業環境影響評価書/ ・発行者: 岩手県/ ・発行年月: 2006年2月/ ・評価書所在場所: 岩手県環境生活部/ ・閲覧等: アセス担当部局で公開(閲覧)/ ・事業計画: 種類:コンクリートダム、堤高(m):48.6、湛水面積(ha):37、その他:治水のため、穴あきダムであり、通常時は殆ど湛水しない。/ ・場所(市町村): 住田町/ ・地域特性: -/ ・備考: 〔※空欄〕」

 

▽▽2005年(平成17年):

 

→▼〔2005年 岩手日報盛岡版〕岩手県の環境関係ニュース 2006.7-9(2005/07/1〜09/30)|三陸の海・下北の大地を放射能から守ろう http://sanriku.my.coocan.jp/env53.htm
・2005/07/12 ☆津付ダム補償に調印、県と地権者、13世帯が生活再建

→▼〔2005年 岩手日報盛岡版〕岩手県の環境関係ニュース 2005.4-6(2005/04/01〜06/30)|三陸の海・下北の大地を放射能から守ろう http://sanriku.my.coocan.jp/env52.htm
・2005/06/25 津付ダム反対、採択見送る、広田湾漁協総代会、04年度決算承認
・2005/06/24 ☆[ダムを考える、津付の現場からII]、補助金支配、目的別、実情にあわず
・2005/06/23 ☆[ダムを考える、津付の現場からII]、新たな治水モデル、住民参画
・2005/06/22 ☆[ダムを考える、津付の現場からII]、ハード面の対策限界、津付ダム
・2005/06/20 ☆[ダムを考える、津付の現場からII]、建設の是非対話なく、住民の意志/ ・2005/06/19 移転補償で来月〔7月〕調印、住田の津付ダム、調査開始から28年

→▼〔2005年 岩手日報盛岡版〕岩手県の環境関係ニュース 2005.1-3(2005/01/01〜03/31)|三陸の海・下北の大地を放射能から守ろう http://sanriku.my.coocan.jp/env51.htm
・2005/03/13 津付ダム、住田、効果と限界くっきり、大船渡振興局が洪水マップ
・2005/02/11 津付ダム早期着工を、住田、商工会など県に要望

 

→▼簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク|動き〔これまでの紹介記事〕|津付ダム関連 http://yanadamu.web.fc2.com/houdou/ugoki.htm
・2005/7/12 ☆津付ダム補償に調印 県と地権者 岩手日報
・2005/06/20-25 ☆ダムを考える 「津付」の現場からII 岩手日報特集
・2005/5/26 ダムに頼らず気仙川治水を 岩手日報


▼〔2005年11月8日〕平成17年12月定例会 決算特別委員会会議録|岩手県議会会議録 全文表示 http://www3.pref.iwate.jp/gikai/user/www/Zenbun/page/conferenceId/17/pageStart/381297/pageEnd/381469/
▽「〇吉田昭彦委員 ぜひ地方の裁量権が拡大するように、これからも努力していただきたいと思います。/ 次に、河川総合開発費に関連しまして、津付ダムの建設推進についてお伺いいたします。/ 長年地権者の方々に対して待っていただいたわけでありますが、先般、地権者との協定書に調印されたわけでありますが、その後のこの進捗と現状について、地権者等の話し合いも含めてどのようになっているか、お伺いします。/ それから、来年度の概算要求に当たってどのような事業を考えておられるか、お伺いいたします。/ それから、気仙川流域の治水対策上は、ダム建設と河川改修が最も効率的・効果的であるということで伺っておりますが、この内容について御説明いただきたいと思います。」
▽「〇若林〔治男〕河川開発担当課長 今、津付ダムのお話をいただきました。損失補償協定の調印を〔2005年〕7月11日に行いまして、それ以降、地権者の方々と移転をめぐる補償交渉を進めてまいりました。9世帯移転される方々がいらっしゃるんですけれども、現在までに4世帯の方々と契約を結びまして、引き続きまして、年度末までにもう1世帯の地権者との契約を結びたいと考えております。/ 平成18年度〔2006年度〕の概算要求につきましては、残る4世帯の生活再建、移転補償を最優先として国に要求しているところであります。/ それから、気仙川の治水対策につきまして、ダムと河川改修の組み合わせという形で現在進めているわけですけれども、気仙川は70分の1の治水安全度を目標として、70分の1の場合、経済的であり、かつ移転家屋等が少なくて社会的影響も少ないということから、ダムと河川改修という組み合わせを採択しているものであります。/ 治水対策を進めるに当たりましては、社会経済情勢、それから整備期間、近年の洪水の出水状況を勘案いたしまして、段階的に整備をしようと考えております。段階的に津付ダムをまず先行して整備して、下流全川にわたって洪水の水位を下げるということをまずもって行いたい。それには、効果ということについては、全川にわたって効果が出てくるということになります。それから、河川改修に比較して、ダムですと比較的短期間で工事が終わる、ですから、投資効果が早期に発現できると考えております。」

▽「〇吉田昭彦委員 ありがとうございました。/ 津付ダムについては、気仙川流域の住民の治水上、あるいは安全・安心な地域形成のためにも、ぜひとも必要な事業であると思いますので、この事業については、地域振興上も大変重要な事業でございますので、そういう観点で事業の促進を改めて私から地域の声として申し上げたい。部長、いかがでしょうか。」
▽「〇橋本〔義春〕県土整備部長 ただいま河川課担当課長が説明したとおりでございますけれども、いずれ地域の皆様と連携を図りながら、事業を推進してまいりたいと考えております。」
▽「〇吉田昭彦委員 終わります。」

 

▼〔2005年7月12日〕津付ダム補償に調印/県と地権者|岩手日報 http://www.iwate-np.co.jp/news/y2005/m07/d12/NippoNews_9.html
▽「津付ダム(住田町)の建設予定に伴う〔岩手〕県と地権者との損失補償協定書の調印式は〔2005年7月〕11日、〔岩手〕県庁で行われた。予備調査に着手〔1977年〕してから既に28年が経過。ダム建設の是非は今も議論が続くが、長年の懸案だった水没地権者の生活再建がようやく始まる。」
▽「調印式は、津付ダム地権者会(大村孝一会長)の13人、増田〔寛也〕〔岩手県〕知事、多田欣一住田町長らが出席。多田町長を立会人に、大村会長と増田知事が損失補償協定書に調印し、握手を交わした。/ 大村会長は「1981年〔昭和56年〕に計画を説明されてから、我慢を重ねてきた。生活基盤のある土地が水没してしまうが、下流の方々のことを考え決断した。生活再建は、これからがスタート」と万感の思いを込めてあいさつした。/ 増田知事は「長い間ご苦労をお掛けした。今後は理解や協力に応えるためにも環境に配慮して事業を進め、洪水被害の軽減に努めたい」と地権者の決断に敬意を表した。」
▽「津付ダムは77年〔1977年/昭和52年〕に予備調査に着手。当初、ダムに反対していた地権者は89年〔昭和64年/平成元年〕にやむなく同意したが、国のダム建設新規採択の凍結県の環境影響評価条例施行陸前高田市の利水撤退〔2003年5月〕などで着工は遅れている。/ ダムで土地が水没するのは13世帯で、9世帯が移転の対象。ダム総事業費約141億円のうち約11億円を補償に充てる。住田町中心部に町が整備する分譲地などへの移転が、早ければ今年中〔2005年中〕に始まる。/ 一方、ダム建設の是非は県の大規模事業評価専門委で議論が続く。県は今のところダム完成を2017年度と見込むが、財政も含めて見通しは不透明だ。/ 増田知事は「地権者の生活再建とダム建設は別のものだと考えている。国の財政状況も厳しく、いろいろと議論しなければならない」とダム事業の行方に含みを残す。」「2005年7月12日」

 

▼▼〔2005/06/20〜24〕ダムを考える 「津付」の現場から II|岩手日報 http://www.iwate-np.co.jp/2005kikaku/05damukangaeru/05damukangaeru.html
 →https://web.archive.org/web/20061102194310/http://www.iwate-np.co.jp/2005kikaku/05damukangaeru/05damukangaeru.html
▽「■ダムを考える 「津付」の現場から II/ 〔岩手〕県が住田町に建設予定の津付ダム。ダムの是非をめぐる議論が続く中、県は着々と着工への準備を進める。一方、欧米をはじめ国内でもダムや堤防などのハード整備だけに頼った治水への反省から、ソフト事業を含めた「総合治水」の考え方が浸透しつつある。津付の現場から、21世紀の治水の在り方を考える。(この企画は5回続きです〔2005年6月20日、21日、22日、23日、24日〕)」 ※日付の昇順に並べ替えた。

 

▼「■ダムを考える 「津付」の現場から II(1)」「住民の意思/ 2005年6月20日」
▽「■建設の是非 対話なく/ 1977年に予備調査が始まった津付ダムは28年の歳月を経た今〔2005年6月現在〕、数年後の本体着工に向けた準備のピッチを上げている。県は水没地権者への移転補償開始を決定し、気仙川漁協佐藤啓一組合長)と公害防止協定を結んだ。/ 一方、ダムの是非を問う議論はまだ続く。県大規模事業評価専門委(専門委員長・首藤伸夫日本大大学院総合科学研究科教授)は昨秋〔2004年10月〕、津付ダム建設を「要検討(見直し継続)とした県の評価は妥当と答申した。/ しかし、同専門委の真意は必ずしも「継続」ではなく、地域住民に計画の内容を十分に説明し理解を得ることなど、5つの条件を付けた。/ これを受けて県は約1700万円を投じ、ダムの効果と限界が一目瞭然(りょうぜん)となる洪水時の浸水予想地図を作製。県職員が高い位置からダムの効果ばかりを強調し「分かりづらく一方的」と批判のあった説明方法も一新した。/ 〔2005年〕3月に陸前高田市と同町で行った住民説明会では、職員が住民とひざを合わせ、疑問や要望に一つ一つ丁寧に答えた。/ しかし肝心の説明内容は、以前と変わらぬダム建設を前提としたものばかり。住民に総合治水など新たな選択肢は示されなかった。/ 同市気仙町の大條陽一さん(71)は「県は『こうやりますけどいいですね』という説明が多い。『皆で知恵を出し合おう』という姿勢がないと、不信感を招きかねない」と懸念する。」
▽「これまでに住民が治水計画を話し合う機会は、昨年〔2004年〕の気仙川流域懇談会(会長・井田斉北里大水産学部教授)があった。/ しかし、井田教授自身が「委員の理解が足りず、建設的な議論にならなかった」と運営に問題があったことを認めており、ダム建設の是非の決定に住民の意見が十分反映されたとは断言できない。/ 井田教授は「ダムは県が造るが、子孫まで流域で暮らすのは住民だ。県は住民に十分な選択肢を示す義務がある。住民も、県の言い分をうのみにするばかりでは子孫への責任を果たせない。ともに考える姿勢が双方に必要だ」と警鐘を鳴らす。/ しかし、県河川課の若林治男河川開発担当課長は「ダムは2000年に国の事業採択を受けており、既に決まったことだ」と、住民との議論を避ける。今月末〔2005年6月末〕に行う住民説明会でも、ダムを前提とした河川改修案を示す。/ 一方、実際に説明会の運営を担当する県津付ダム建設事務所の松本中次長は「かつての県は、事業を住民とともに進める姿勢に欠けていた」と打ち明け、住民とのさらなる対話を模索する。県の意識は現場から変わりつつあるが、まだ大きな流れにはなっていない。」「【写真=資料を囲んで気仙川の治水対策を話し合う県職員(右)と住民。説明は分かりやすくなったが、内容は依然として「ダムありき」だ=〔2005年〕3月15日、陸前高田市横田町】」
▽「■気仙川治水計画/ 県は陸前高田市の利水撤退〔2003年5月〕に伴い、津付ダムを多目的から治水専用に見直す基本方針の変更案を策定。昨年〔2004年〕2月、有識者らで組織するいわての川づくりプラン懇談会が承認した。後に流域住民の代表者らが気仙川流域懇談会で整備計画を話し合い、昨年〔2004年〕7月に大勢の意見として「津付ダム建設が妥当」と結論付けたが、ダムの基本的効果さえ理解していない委員も多かった。」

 

▼「■ダムを考える 「津付」の現場から II(2)」「失われる役割/ 2005年6月21日」
▽「■治水小さく 効果疑問/ 「なんだ、何も変わらないじゃないか」。〔岩手〕県が〔2005年〕3月に陸前高田市横田町で開いた津付ダムの効果に関する説明会で、30年に1度程度起こるとされる洪水の浸水予測図を見た住民がつぶやいた。予測図ではダムがあってもなくても、浸水域にほとんど差がなかった。/ 県は「津付ダム建設を先行して30年に1度の洪水を防ぎ、後で河川改修を行い70年に1度の洪水を防ぐ」と説明してきた。しかし、ダムで30年に1度の洪水を防げるのはダムに近い上流域と最下流部の同市街地などで、中流域は広い範囲で浸水する。これが、津付ダムの「限界」だ。」
▽「津付ダムは約30年前に治水と工業利水などの多目的ダムとして計画されたが、その後社会情勢が変化。企業誘致が進まない同市〔陸前高田市〕が利水から撤退し〔2003年5月〕、県は治水専用ダムに設計を変更した。ダムの社会的役割は減少した。/ また、県は当初、大きな治水効果が見込める気仙川本流への建設を目指したが、地質が不向きなことなどで断念。支流の大股川の上流部に建設されることになった津付ダムは、治水専用ダムでありながら治水能力が小さいという矛盾を抱える。/ 県は、ダムがないと最下流域の堤防の一部が決壊して洪水が同市街地の広範囲を襲い、流域最大の約200億円の被害を出すと予想。津付ダムの費用対効果算出の大きな根拠となっている。/ しかし、決壊が懸念されるのはわずか1カ所の数十メートルの区間だけ。「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」〔2003年1月設立〕の吉田正世話人代表は「わずか数十メートルの堤防をかさ上げや補強するだけで、市街地は水害を免れる。堤防改修を優先した方が、ダムよりはるかに早くて安いのでは」と疑問を投げ掛ける。/ それに対し、県河川課の若林治男河川開発担当課長は「気仙川は流域が長く、早期に流域全体の水位を下げるダムが有効だ。防ぎ切れない個所の河川改修も並行するが、水位が高いまま堤防のかさ上げを行うと、決壊などした場合にかえって洪水時の危険が増す恐れもある」と反論する。/ 津付ダムの環境への影響を懸念している北里大水産学部の朝日田卓助教授は「効果が極めて小さいダムを最優先とする県の方針は説得力を欠くと言わざるを得ない。予算枠など行政の都合でダムありきの理論をこじつけているのではないか」と指摘する。」「【写真=県が作製した気仙川洪水時の浸水予想図。中流域では治水効果があまりない津付ダムの限界が明らかになった】」
▽「■津付ダムの治水能力/ 津付ダムは幅165メートル、高さ48・6メートルの重力式コンクリートダム。県は総事業費141億円で2017年の完成を目指す。気仙川下流部では、想定される洪水の流量を8%減少させるが、水位では約30センチの低下にとどまる。盛岡市に建設予定の簗川ダムは56%減、大迫町早池峰ダムも25%減と、津付ダムを大きく上回る治水能力を持つ。」

 

▼「■ダムを考える 「津付」の現場から II(3)」「総合治水の考え/ 2005年6月22日」
▽「■ハード面の対策限界/ 洪水対策と言われて真っ先に思い付くのは、ダムや堤防の建設ではないだろうか。ハード整備をして、川から水をあふれさせないようにするのがこれまでの手法だった。/ だが、昨年〔2004年〕の新潟・福井豪雨を機に、川の中だけで洪水を制御するのではなく、流域全体でさまざまな手法を組み合わせて洪水対策を行う総合治水の考えが、中小河川でも言われ始めてきた。/ 米国は1993年のミシシッピ川大洪水を機にハード整備に頼っていた政策を転換。水害危険地域からの住宅移転や全米洪水保険制度、湿地の回復などのソフト事業にも力を入れている。/ ミズーリ州危機管理局のジェリー・アールマン局長は「大洪水を機にダムや堤防は限界があると分かり、川はあふれるという原点に返った。(洪水時に水をかぶる)はんらん原の住宅を移転するなど非構造的アプローチに力を入れている」と説明する。/ 国内もその流れを追随する方向だ。国の豪雨災害対策総合政策委員会が〔2005年〕4月にまとめた提言は ▽連続堤防などの手法でなく、守るべき対象を明確にした整備 ▽治水対策を反映した土地利用の推進 ▽水防団や民間非営利団体(NPO)による水防体制の強化 −などハードとソフトが一体となった減災体制の確立を明確にうたった。」
▽「〔岩手〕県内は、総合治水の考えで本格的に対策を取っている流域はまだない。だが、洪水被害の多い川崎村〔現 一関市〕は唯一、浸水危険区域の建築を規制する条例を持つ。県は本年度〔2005年度〕、北上川支流などで浸水危険地帯にある家屋移転を推進する制度づくりの検討にも入る。/ 県河川課の岡田由紀夫河川海岸担当課長は「堤防を予定通り整備するには事業費も時間もかかる。住民が合意すれば、短期間で治水効果が得られる施策を発想を変えて考えたい」と説明する。/ 総合治水の考えが広がり始める中で、ちょうど議論が進む住田町の津付ダム。再評価を行った大規模事業評価専門委員会に、専門家の立場で出席した東京工業大大学院の石川忠晴教授(水理学)はこう提言する。/ 「上、中、下流域はそれぞれ状況が違うので画一的な治水対策は難しい。住民の住み方も含むハードとソフト対策をうまく組み合わせながら、総合治水の中でダムの必要性を考えるべきだ」/ 現状では、ダムと河川改修しか選択肢のない気仙川の治水対策。石川教授の助言をこれから生かすことができるだろうか。」「【写真=条例で洪水危険地域の土地規制を行い、土地のかさ上げを義務付けている川崎村〔現・岩手県一関市〕】」
▽「■総合治水/ ダムや堤防などハード整備による河川改修だけでなく、水田を遊水池にしたり、宅地のかさ上げや住宅移転、はんらん危険区域の土地利用規制、ハザードマップの作製、水防体制の強化などソフト事業も組み合わせた治水対策。もともとは急激に市街化が進んで、洪水時に河川への流出量が増えた都市河川で考えられた対策だった。」

▽参考:
▼豪雨災害対策総合政策委員会|国土交通省 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/past_shinngikai/shinngikai/shakai/gouuindex.html

 

▼「■ダムを考える 「津付」の現場から II(4)」「新たな治水モデル/ 2005年6月23日」
▽「■求められる住民参画/ 気仙川の中流域は川岸に水田が広がり、山際も近い。〔岩手〕県が想定している河川改修案を見ると、農地を守るための改修も多くある。/ 「ダムだけではこの地域の水害は防げないので、河川改修もしっかりやってほしい。県は70年に一度の洪水を防ぐと言うが、数年ごとの被害を防げるようにすることも緊急の課題だ」。横田地区コミュニティ推進協議会(陸前高田市)の荻原保夫会長はダム事業推進の立場からもこう話す。/ 現在はダムと河川改修しか選択肢はないが、予算の関係でいつできるか分からない河川改修に頼るだけでなく、農地を補償して遊水地機能を持たせたり、洪水危険地域の住宅移転や宅地のかさ上げなどの対策も考えられる。住民の合意があればさまざまなソフト対策で当面の洪水被害を防ぐことは可能だ。/ これまで県は代替案として4案を示してきた。だが、河川改修単独案あるいは河川改修と一事業の組み合わせの例だけで、総合治水の手法が流域ごとに具体的に計画されたことはない。/ 県河川課の若林治男河川開発担当課長は「今後もダムと河川改修の組み合わせを基本に進めるが、超過洪水対策も視野に住民とさまざまな手法を相談したい」と今後、一部にソフト事業の導入も検討する考えを示す。」
▽「兵庫県は「真の総合治水」に向けて大きくかじを切った。事業評価監視委員会は約300億円で計画していた武庫川ダム建設を「妥当」としたが、住民から反対の声も出ていたため、2000年に当時の貝原俊民知事が「総合的な治水対策を検討していきたい」とダム計画の再検討を表明。/ 現在、総合治水を進める合意形成の場として武庫川流域委員会をつくり、治水安全度(何年に一度の洪水を防ぐ整備にするか)の議論を皮切りに話し合いを進めている。/ 同県〔兵庫県〕の田中重明河川計画課長は「住民も入り、責任ある立場で河川整備基本方針から議論してもらっている。ダムは白紙撤回ではなく、治水方法を組み合わせた中で必要かをゼロベースで考える」とし、ダムに固執しない話し合いを一から始めた。/ 総合治水を取り入れるには治水事業を県に頼るだけでなく、住民や市町村の参画が必要で話し合いには時間がかかる。だが気仙川でも、総合治水の中での津付ダムの位置付けを住民や地元自治体と一緒に考えることが、新しい流域整備モデルを確立する上で必要だろう。」「【写真=津付ダムの建設と河川改修が予定されている気仙川。総合治水の観点でとらえ直す必要もありそうだ=陸前高田市】」
「■武庫川ダム/ 兵庫県が建設を予定している治水とレクリエーションの多目的ダム。津付ダムと同じ、平常時には水をためない「穴開きダム」で1993年に事業着手した。98年に〔兵庫〕県事業評価監視委員会は建設を「妥当」としたが、2000年に県が総合治水の観点で再検討することを表明した。準備委員会を経て、04年から2年間の予定で、武庫川流域委員会でダムも含めた総合治水の観点で話し合っている。」

 

▼「■ダムを考える 「津付」の現場から II(5)」「国の補助金支配/ 2005年6月24日」
▽「■目的別、実情に合わず/ 気仙川下流部の陸前高田市気仙町中井地区は、大雨の度に深刻な水害を受けてきた地域の一つだ。地域内に降った雨が排水されずにたまる内水の被害で、津付ダムでは解決できない。/ 県は2001年、同地区の2カ所に排水ポンプを設置。02年夏の出水時に効果が期待されたが、ポンプに泥が詰まりほとんど機能しなかった。/ 住民は対策を要望したが、本年度〔2005年度〕〔岩手〕県が行うのはポンプへ泥が入るのを防ぐ防護壁の設置だけで、予算は約100万円。抜本解決にはほど遠い。/ 同地区の会社員菅野房夫さん(52)は「効果が小さいダムに141億の予算があるのに、1番被害が大きい地域の対策に100万だけとはおかしな話だ」と首をかしげる。/ 県津付ダム事務所の松本中次長は「国の補助が目的別のため、ダム予算はダムにしか使えない」と話す。同地区の対策にダムの補助金を使えば、国に返還を迫られる。/ 住民の目線で考えれば治水の目的は「水害の防止」で、その手段は二の次の問題だ。しかし、国の目線では「ダム建設」という手段が目的となる。国補助に頼らざるを得ない県は、どうしても「ダムありき」になってしまう。」
▽「だが、可能性はある。県大規模事業評価専門委(首藤伸夫専門委員長)がダム建設の中止を答申すれば、仮に地権者補償や付け替え道路の建設が終わっていても、補助金の返還義務はなくなる。/ 県河川課の若林治男河川開発担当課長は「補助金返還を免れても治水が補助事業である限り、ダムの代替事業の採択は極めて困難。今あるダム予算を県が自由に使えれば、もっと柔軟な対策ができるのだが」と治水事業一般財源化を求める。/ 国土交通省治水課の神矢弘課長補佐は「治水は住民の生命に直接かかわる事業だ。地域により命の重さに軽重ができるような制度は好ましくない」と、地方への財源、権限の移譲に難色を示す。/ 総合治水を目指してダム建設を再検討している兵庫県武庫川ダム事業は本年度、補助金が全額カットされた。国の締め付けは厳しい。/ 一方で神矢〔国土交通省治水課〕課長補佐は「地方は一度補助採択を受けると、それに固執せざるを得なくなる。総合治水など時代の流れについていけない矛盾も感じている」と打ち明ける。/ 気仙川の治水は上流域でダムが有効だが、中流域ではダムの効果が乏しく総合治水が求められる。下流域は一部堤防の強化と内水対策が急務だ。/ 県はダムにこだわらず、地域の実情に合った治水対策を住民とともに進めるべきだ。それには国が地方を補助金で支配してきた20世紀の仕組みを変える必要がある。「21世紀の治水」とされる総合治水の実現には、国と地方の在り方そのものが問われている。(〔連載〕終わり)/ (陸前高田支局・太田代剛、報道部・神田由紀)」「【写真=抜本的な内水対策が急務な陸前高田市気仙町中井地区の排水ポンプ。ダムだけに頼らず、地域の実情に合ったきめ細やかな治水が求められている】」
▽「■治水事業一般財源/ 全国知事会など地方6団体は昨年、国に三位一体改革で治水事業一般財源化を要求。国に使途を縛られる補助金から、地方が自由に使える交付金に変われば、総合治水などきめ細かな対策がしやすくなる。しかし国は「事業を必要とする地域で重点的な投資が困難になる」などと拒否した。」

 

 

▽▽ノート:

岩手県議会 Iwate Prefectural Assembly http://www2.pref.iwate.jp/~hp0731/
▽※右上の検索窓より「津付ダム」を検索。

岩手県 - 住田整備事務所〔旧 津付ダム建設事務所〕 http://www.pref.iwate.jp/engan/sumita/index.html

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 →▼「津付ダム」に関する東日本大震災以前の記事1 - atimus's blog http://atimus.hatenablog.jp/entry/2014/08/02/010000
 →▼「津付ダム」に関する東日本大震災以前の記事3 - atimus's blog http://atimus.hatenablog.jp/entry/2014/08/02/030000